過疎化が進む沖縄の孤島にやってくる都会育ちの少女の成長過程と島民たちとのふれあいを描いたヒューマンドラマ。周囲3.8km、人口49人、平均年齢63.5歳の八重山諸島の鳩海島(はとみじま)に、東京から11歳の少女・瑠璃(成海璃子)がやってきた。一人残っていた子供が引っ越すことになり、10年前になくなった中学校に引き続いて、小学校も廃校になるかもしれない危機に直面する鳩海島。子供を島に連れて帰ることを託されるも、東京に住んでいる孫の転校を娘・貴子(純名りさ)に拒まれた勇造(緒形拳)は、里親になるべく施設を探し回った末に、手がつけられないほどの問題児・瑠璃と出会った。母親・直(西田尚美)に捨てられてもクールに振舞う瑠璃は、島民たちから温かい歓迎を受けるのだが……。
以前日本テレビの沖縄特派員だった森口豁のノンフィクション『子乞い〜沖縄・孤島の歳月』をモチーフにしている実話ベースならではの現実感や、青い海と照りつける太陽に彩られた美しい風景、隅々にまで行き届いた豪華キャストなど、このドラマの見どころは様々あるが(とりわけ充実してるのは第1話と第3話)、何といって最も印象的なのは瑠璃を演じる成海璃子の圧倒的な存在感である。『電池が切れるまで』での名演が忘れ難い成海璃子はここでも一切過剰さのない、それでいて瑠璃の心の中の叫びをダイレクトに響かせるような素晴らしい演技を披露している。瑠璃と同じ日に島にやってきた謎の男・川島(竹野内豊)や、何かにつけて瑠璃と対立する担任のさなえ(小西真奈美)らとの絡みも見ものだ。(麻生結一)